【必見】気になる!再生医療 ~現場の医師に聞く~ | CPC株式会社

2024/04/15

【必見】気になる!再生医療 ~現場の医師に聞く~

CPC株式会社ネットワーク事業部です。 

   

今回は、お茶の水セルクリニックで股関節疾患をメインに幹細胞治療をされている、石倉先生に“再生医療との出会い”や“幹細胞治療の印象の変化”などを伺いましたので、ご紹介いたします。 

   

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プロフィール 

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医師 石倉 久年 

   

■経 歴 

東京大学医学部 卒業 

JR東京総合病院 初期臨床研修医 

東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科 

JR東京総合病院 整形外科 

相模原病院 整形外科 

日本赤十字社医療センター 骨関節整形外科 

帝京大学医学部附属病院 整形外科 

東京大学大学院医学系研究科 整形外科 

東京大学医学部附属病院 整形外科 医局長 

東京大学医学部附属病院 整形外科 助教 

   

■資格等 

日本整形外科学会専門医 

   

これまで整形外科専門医として、変形性関節症や股関節疾患を中心に診療にあたってこられました。現在は東京大学医学部附属病院で股関節の診療を中心に行いながら、お茶の水セルクリニックで診療を行っています。東京大学大学院においては、関節恒常性維持機構をテーマに基礎研究を行い、学位を取得されました。 

   

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再生医療との出会い 

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私が再生医療と出会ったのは大学院時代にさかのぼります。現在お茶の水セルクリニックで一緒に働いている樋口淳也先生とともに、2018年に東京大学大学院に入学し、樋口先生が幹細胞の治療メカニズムの研究を、私が関節滑膜の研究を行っていました。日夜、樋口先生とともにマウスやラットの膝関節内を顕微鏡で観察し、投与された幹細胞はどこに集積するのか、なぜ関節症の症状が良くなるのかなど、ディスカッションをしていました。その中で、幹細胞が関節の炎症を抑える現象を目の当たりにし、幹細胞治療の可能性に興味を抱き始めました。

    

その後、縁あってお茶の水セルクリニックで働かせて頂くことになりましたが、実際に幹細胞治療に携わることができ、充実した日々を送っています。 

   

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股関節疾患と幹細胞治療 

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膝関節と比較すると、股関節ではまだ幹細胞を投与されている患者様が少ないのが現状だと思います。膝と比較して関節内に確実に投与することが難しいこと(エコーが必要)、寛骨臼形成不全や骨盤の傾きなど、形態的な要素が膝よりも強いことなどが理由として挙げられるでしょう。しかし、股関節内にも関節包や滑膜は存在し、股関節疾患に滑膜炎が関与している点では他の関節と共通しています。幹細胞で股関節内の状態を制御できれば、股関節疾患にも十分効果を発揮するのではと考えています。 

   

今後は、どのような疾患でより効果を発揮するのかなど、まだ分かっていない部分を解明すべく、データの収集も行っていきたいと考えています。 

   

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幹細胞治療の印象の変化 

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幹細胞治療で最初に驚いた点は、関節の形態(骨や軟骨、半月板や関節唇の状態など)に変化がなくても、痛みが良くなる方が多いことです。最初に思っていたよりも、炎症を取る効果が強いことを感じています。 

   

また、ニーズの多さにも驚かされる毎日です。普段は保険診療をメインで扱っているため感じることが少なかったのですが、数多くの患者様と接する中で、幹細胞治療のニーズの高さを実感しています。 

   

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  幹細胞治療と患者様の関わり方 

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患者様の中には、幹細胞治療と手術治療のどちらを選択すべきか、悩んでいる方が多くいらっしゃいます。私自身が普段、人工関節手術や骨切り術を専門に行っておりますので、その専門知識を生かし、幹細胞治療および手術の両方について、メリットとデメリットを正直にお話するようにしています。幹細胞治療の大きなメリットは、体の負担が非常に少なく、安全に治療を行うことができる点です。一方、変形が末期の方、寛骨臼形成不全などで形態的に不利な状態にある患者様については、効果が限定的である可能性を十分にお話しています。ご納得いただいたうえで、幹細胞治療を選んでくださる患者様が多いと感じています。 

   

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整形外科医の視点で見る、幹細胞治療の展望 

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現在の整形外科領域では、“より低侵襲な処置・手術”を求められる時代になってきたと感じています。人工関節にしても、骨切り術にしても、より負担が少なく入院期間の短い手術が必要になってきています。 

   

幹細胞治療は、非常に低侵襲に関節内へ介入できるという点で、時代にマッチしていると考えています。薬物療法やリハビリテーションなどの保存加療と、手術加療の間をつなぐ治療として、幹細胞治療のニーズは今後も高まるのではないかと期待しています。 

   

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今回は以上になります。 

最後までお読みいただきありがとうございました。 

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